個人用調査メモです。(従ってかなり雑多な記載になっております)。
昔からの国技というのは、ある意味では正しいが、正確には嘘である。
古代において、采女が女相撲をとった記録がもっとも古い文献上の記録と言われる。つまり、女人禁制もまったく伝統ではないということ。この女人禁制は、神道や仏教の影響を受けて、明治期に「虚構」として、作り上げられた。(古墳時代にもあったようだし、古代中国でも力士は存在した)。
相撲は、本来神事でもあったが、同時に娯楽であり興業であり、風俗業でもあった。そのような「醜い」過去を覆い隠すために、女人禁制が取り入れられたと言える。女相撲は常に神事として存在し続けたし、多くは仏閣での勧進であった。女相撲は、度々風紀に関係して禁止された。江戸時代の回向院の相撲の女性観覧禁止は、治安上危険だったためであることがわかっている。(宗教上の理由ではなく)。
歴史的に現代の相撲の系譜は、平安時代の「相撲節」に由来すると思われる。相撲節は、天皇の前で行われる国家統一を強調する行事であった。相撲取りが、ふんどしだけで登場するのは、捕虜として降伏する意味を持っていたと言われる。(宮本徳蔵など)
現代の相撲協会は、伝統や神事を強調するが、実際は興業であり、明治以来今の形になったのである。もともと、相撲興行は、エタの監督の下に興業が行われるなど、江戸期には地位が低かった。1648年に禁令が出るが、効果が薄く結局勧進相撲は許可されるようになる。
しかし、1758年の「八王子出入一件」(エタと相撲興行側の衝突)で、「でっち上げ」の伝統を強調することで、地位の向上が始まる。
明治期に、文明開化の流れで、野蛮と禁止の方向へ向かうが、国粋主義台頭や、天覧相撲などもあり、復興を始める。相撲を武道と考える歴史もかなり浅いものである。
今日の大相撲は、興業としての存在意義は大きいが、歴史的な考証に耐える伝統は持っていないと結論できる。
もちろん、相撲という事象自体は、宗教とも関係して古代から存在し、研究対象としても重要である。
参考文献
論文:
日本社会における相撲の歴史 生沼芳弘
2010年の賭博事件から見た相撲界 2012 森田恵子